前回の講座でキャラクターの設定画まで作成しました。
第3回である今回からはいよいよ立ち絵作成作業に入っていきます。
この講座では
- ラフ制作、色ラフ制作
- 差分ラフ制作
を行っていきます。
ラフ作業は完成した後、直に目に見えるものではありません。
しかし、その立ち絵の土台になる大事な作業です。
早速作業に入っていきましょう。
前回はこちら。
動画での解説はこちら。
ラフを作成するときに使用するツール一覧
講座に入る前に、絵を描くときに使うと便利なツールをご紹介します。
知識として覚えておくと後々必ず役に立つのでぜひ頭に入れておいてください。
最初はツールを使うことの方が難しいかもしれません。
ペイントソフトは使うだけで効率が上がるツールが多いので少しずつ使って慣れていきましょう。
レイヤー|パーツやパターン分けなど工夫するために活用
レイヤーとは、画像や描画物を重ね合わせて作業する際に使用される機能です。
レイヤーは、それぞれが1枚の紙のようなもので、各レイヤーは独立して編集することができます。
レイヤーを使うことで、簡単にイラストの部分的な変更や削除、追加ができます。
また、レイヤーを重ねることで、画像の透明度や調整したり、異なる要素を組み合わせたりすることもできます。
例えば、背景とキャラクターを分けてそれぞれのレイヤーに描画するとします。
キャラクターのポーズや表情を変えたい時は、キャラクターを描いているレイヤーだけを編集すればよく、背景はそのまま保持できます。
ペンツール|自分に合う設定で描いていく
イラストソフトには、様々な描画ツールがありますが、その中でも重要なツールの1つがペンツール。
ペンツールは、手描きの線を描くための機能であり、非常に精密な描画が可能です。
ペンツールで描く線の質感は、ブラシの種類によって変わります。
あらかじめ搭載されているブラシだけで自分の描きたいものが表せない場合は、自分でブラシをカスタムして使ってみましょう。
自分のイメージに合わせたカスタムブラシを作成することで、より独自の表現ができます。
ペンツールを使いこなして、自分のアイデアを形にしてみてはいかがでしょうか。
消しゴムツール|修正のために描いた部分を消す
イラストソフトには、描いた線を削除する「消しゴムツール」があります。
消しゴムツールは、一般的な消しゴムと同様に、線を消したい部分を消してくれる機能です。
消しゴムツールを使うことで、ミスを修正できるため、イラスト制作においては非常に重要なツールの1つとなっています。
通常の消しゴムは、一定の大きさの円や四角形などの形をしたものが多いです。
ペンやブラシツールと同様に、大きさや硬さも調整できます。
なげなわツール|細かい調整をしたい部分を選択
なげなわツールはデジタルならではの機能になります。
イラストを描いているときに1部分だけ修正したくなる時はありませんか。
「手の大きさを少しだけ大きくしたい」「片方の足だけ少し小さく調整したい」「目の位置を少し移動させたい」など、細かい調整を行いたい時は『なげなわツール』が便利です。
なげなわツールは調整したいものを囲んで、移動したり拡大縮小したりできます。
透明度の変更|下のレイヤーを見たい時などに
他のレイヤーを参照しつつ本描きなどをしたいときは透明度の変更をして簡単に描いていきましょう。
透明度の変更をすることで、レイヤーの透明度を変えることができます。
わかりやすく言うと、紙が透けるイメージです。
マンガやイラストをアナログで描くときに、紙を2枚重ねてライトテーブルなどで下を透かして描く方法がありますよね。
それと同じようなようなものと考えてもらえればわかりやすいかと思います。
立ち絵のポーズを考えてみよう
ここで使えるツールがわかったところで、実際の制作作業に入っていきましょう。
まずはポーズを考えつつ、前回考えたキャラクターをカタチにしていきます。
ぱっとポーズを考えてって言われてもどんな風にしたら良いかわからないよ…。
そうですよね。
立ち絵は設定画と違いただ立っていれば良いというものでもないです。
ポーズの考え方から見ていきましょう。
立ち絵の構図はどうやって考える?
立ち絵のポーズはどのように考えていけば良いかから探っていきましょう。
立ち絵のポーズは以下の特徴を考えながら制作することでより良い立ち絵を作り上げることができます。
キャラクターのポーズを特徴や性格に合わせる
キャラクターのポーズは、その性格やストーリー性を表現するためにかなり重要です。
力強く立っている姿勢や、リラックスした姿勢など、キャラクターの特徴や性格に合わせてポーズを考えていきましょう。
キャラクターのバランスと印象を表す
立ち絵は、静的なイラストであっても、ダイナミックな印象を与えることが求められます。
キャラクターのポーズやラインの流れを工夫し、バランスの取れた構図を作ることで、見る人を引き込ませることができる魅力を持ったイラストになります。
ポーズが思い浮かばないときは資料を探しをしよう
ポーズが浮かばない場合は資料をさがしましよう。
手軽にできるのはピンタレスト。
参考になりそうな被写体を探してみましょう。
ポーズの本も出ているのでそちらも参考に。
実際に描いてみよう!
考え方が分かったところで、実際に描いていきましょう。
ソフトを起動して、まずは立ち絵の画像サイズを800×1360にして作成します。
作業環境ができたら最初に紹介したツールも使用しつつ自由に描いてみてください。
参考までにこの記事ではペンの『鉛筆』を使用して作画しています。
作成するときは描くパーツをレイヤー分けすると後々楽になります。
顔の表情の部分、腕、足、服など。
あくまで一例です。
人によってはもっと細かく描きますが、ラフの段階ではこのくらいでいいでしょう。
初心者はレイヤー1枚でやりがちですが、レイヤーをうまく活用することで幅広くイラストを描くことができますよ。
色ラフを作成しよう
線画のラフが出来上がったら次は色ラフを作成していきましょう!
色ラフ?色ラフがなにかわからないからそこから教えてほしいな。
では、色ラフについての説明からしていきます。
考えなくても本描きはできますが、考えていた方が後々楽なので今回はこの作業も行いましょう。
色ラフとは?
色ラフとは、イラスト制作の初期段階で行われる、おおまかな色彩の配置を検討する作業で、カラーラフとも呼ばれます。
色ラフの目的は、イラストの基本的な色彩の配置とバランスを確立することです。
完成イメージに近づけるために、色彩やトーンの効果を想像し、カラーパレットや配色を微調整することで、より表現力豊かなイラストを作り上げることができます。
ここから大まかな色ラフのやり方を見ていきましょう。
まず、描きだしたイラストの雰囲気やデザインに合わせて、カラーを選んでいきます。
色相、彩度、明度などの要素をバランス良く組み合わせ、イラストに適したカラースキームを作成しましょう。
カラー配置などが決まったら、塗り作業です。
イラストにベタ塗りで簡単に色を配置していきましょう。
塗ったら、塗りが完了したイラストを見ながら、イラストの雰囲気や表現に合わせて必要な微調整を行います。
色の明度や彩度、トーンのバランスなどを調整し、イラストにより一層の魅力を与えるために試行錯誤を繰り返しましょう。
この繰り返し作業が色ラフの作業内容です。
なお、色ラフはあくまで初期段階の作業であり、完成イラストにおいてはさらなる色彩の調整やディテールの追加が必要になります。
色ラフの段階では大まかな色彩の配置を行い、その後の作業で細かなディテールや仕上げに取り組んでいくことを忘れないようにしましょう。
作成した立ち絵ラフに色を塗っていこう
やり方が分かったところでラフに色を塗っていきましょう。
慣れてくると簡単な影まで描き込んでも問題ありませんが、最初はややこしくなるかもしれないので単色ベタ塗りでもかまいません。
キャラクターに配色し終わったら次は微調整に入ります。
色を塗ったキャラクターを見て、おかしなところを探していきましょう。
おかしなところを見つけたら、色を少し変えるなど微調整を繰り返します。
色を塗るときもレイヤーを配置。
色塗り用レイヤーを下に置くことで、線が消えず塗ることができます。
表情差分ラフを作成
次は表情差分のラフを作成していきます。
表情差分は線画ラフのすぐあとに作成しても大丈夫です。
表情差分は4つ~6つ程作成します。
- 笑顔
- 真顔
- 照れ顔
- 泣き顔
- 驚き顔
- 狂気
など、ゲームのジャンルによって適切な表情差分を作っていきましょう。
今回はホラーゲームに使える立ち絵を作成するので『狂気』と『恐怖』の表情差分を入れて作成しています。
ポーズ差分ラフの作成
表情差分を考えたら次はポーズ差分を考えていきましょう。
といってもどうしていいかわかりませんよね。
ポーズ差分の手順を確認しながら、ポーズ差分を考えていきましょう。
1.どの表情差分でポーズを変えるかを考える。
表情の決め方ですが、ゲームをプレイする人が衝撃を受けるような差分が良いでしょう。
ホラーゲームだと『狂気』『驚き顔』『泣き顔』などが該当するかと思います。
恋愛ゲームだと『喜び』『照れ顔』などでしょうか。
2.表情に合う差分を考える。
どの表情でポーズを変えるか選んだら、次はどんな差分にするか考えます。
差分を考えるときは、おおまかに
・大まかな立ち姿から全て変更する。
の2種類あります。
大まかな立ち絵から全て変更する場合、立ち絵をもう一枚描く必要が出てくるので今回は立ち絵は変えず、1部分だけ変更していきましょう。
私は『狂気』差分でポーズを変更しました。
ポーズ差分ラフの作成するときもレイヤーを活用していきましょう。
バランスが取れた差分ポーズを描くことができますよ。
まとめ
今回はラフ制作作業に取り掛かっていきました。
冒頭でも触れましたが、ラフは直に人の目に入るものではありません。
しかし、ラフがあるからこそ良いイラストが出来上がります。
ラフを軽視せず、真剣に制作していきましょう。
次はいよいよ線画作業に入ります。
完成が見えてくるとわくわくしますよね。
一緒に素敵な立ち絵を完成させましょう。
第4回はこちら。
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